うなぎ
ウナギは謎が多く不思議な生き物である。正確な産卵場所や淡水域で育った親鰻がどの道筋で推定産卵場所へ回帰するのかなど解明されていないことが多い。また淡水でも海水でも生きられ、空気中でも体さえ濡れていれば長時間生きられる。
サケと逆で、川で育ち海で産卵する。この点からウナギが海水魚から進化して今の形になったと考えられるようになった。
うなぎの特徴
ウナギ目(ウナギ・アナゴ・ハモ・他)に属する魚でウナギ科。全長40〜50センチメートルほどが標準。脊椎骨数112〜119。体は円筒形で背びれ・尾びれ・尻びれと連なる。皮膚は粘液が多く体色は背面が暗い青褐色で腹面は白色。鱗(うろこ)は退化し皮下に埋まっている。ウナギは空気中でも皮膚呼吸が5分の3あり長時間生きられる。
産卵はマリアナ諸島とフィリピン諸島の海域。卵から透明な柳の葉状の「レプトセファルス幼生(仔魚)」になり海流に乗って変態し「シラスウナギ」になり沿岸に流れ着く。海で一生を終える成鰻がいるとの説もある。シラスウナギ(稚魚)は河川を上りエビやカニなどの小動物を食べ、5〜6月になり水温が上昇すると「クロコ(鉛筆ほどの大きさ)」になって本格的に上流をめざし遡上する。「成鰻」となった後、数年から十数年で成熟し、銀ウナギ(親ウナギ)となって秋に川を下り2000km以上の長旅で産卵場へ向かう。
うなぎ
うなぎの種類 
ウナギ属魚類は15種・3亜種の合計18種に分類されている。日本ウナギの「Anguilla japonica(アンギラ ジャポニカ)」・ヨーロッパウナギの「Anguilla Anguilla(アンギラ アンギラ)」・アメリカウナギ「Anguilla rostrata(アンギラ ロストラータ)」などが種ごとに決まった回遊環で数千キロの降河回遊を行なう。ウナギの起源は1億年前後の白亜紀後にインドネシア付近で派生したと推定されている。海流に乗って西へ分布域を拡大したグループ(ヨーロッパウナギとアメリカウナギ)と起源した場所付近にそのまま残ったグループ(日本ウナギ・オーストラリアウナギ・その他)に分かれた。
世界のウナギ採捕地
アンギラ ジャポニカ(Anguilla japonica) 日本うなぎ
生息地域は日本の本州から北ベトナムまでの東アジアに分布している。
産卵
うなぎ(Anguilla japonica)種の産卵場所は北緯15度東経141−143度前後の4000m級の海山と推定されている。卵の大きさは1.2-1.5mmで4〜11月に産卵し1尾が100〜500万個産卵する。孵化は受精後2日以内。孵化の適水温は22〜28℃。成長温度23℃。
補足
ヨーロッパウナギAnguilla Anguilla(アンギラ アンギラ)フランスウナギとアメリカウナギAnguilla rostrata(アンギラ ロストラータ)は大西洋のサルガッソー海域で産卵する。
回遊 Anguilla japonica(アンギラ ジャポニカ)
4〜11月に産卵し孵化(受精後2日以内)した仔魚は数回変態をしながら赤道海流に乗って西へ運ばれ黒潮に乗り換えてシラスウナギに変態する。産卵の3〜7ヶ月後に東アジアに接岸する。シラスウナギに変態した時期で接岸する場所が異なる。(3ヶ月は台湾。5ヶ月は日本・中国。7ヶ月は韓国。)
シラスウナギ Anguilla japonica(アンギラ ジャポニカ)
変態を終え、シラスウナギ(無色透明)になると11月〜4月に接岸する。河口周辺の泥中に潜ってプランクトンなどを摂取しながら約1ヶ月間淡水になじむ。新月の夜(闇の大潮)などに遡上を始める。このときに採捕したシラスウナギを池に入れ、育てたウナギが養殖鰻となる。
シラスウナギ しらすうなぎ
シラスウナギ シラスウナギ池入れ前の蓄養
養殖
ウナギほど水の条件に左右される淡水養殖魚はない。ウナギ養殖は”水づくり”といわれるほど水質管理をしなければならない。餌は練餌や浮餌などを与える。
11月〜4月に採捕されたシラスウナギは養殖池に入れた後、半年〜2年ほどで出荷できる成鰻になる。
養殖は露地池養殖とハウス養殖がある。「台湾」と「中国広東省」は露地池養殖で1〜2年かけて成鰻にする。「日本」と「中国福建省」は主にハウス養殖で6ヶ月〜1年数ヶ月かけて成鰻とする。ハウス養殖はボイラーを用い加温して成長を促し短時間で出荷できるが燃料費やハウス建設コストがかかる。
うなぎ養殖地図
   露地池養殖場 ハウス養殖場 ハウス養殖場
池上げ
日本では池上げ前に簡易残留検査(Bacillus subtilis ATCC 6633)と異臭検査を行い池上げする。
中国各省「検験検疫局から輸出用鰻養殖場」の許可を得た養殖場<養殖履歴と薬品使用記録を提出済、出荷許可証付養殖場>より原料ウナギを池上げする。餌止めは池上げ48時間前とする。池上げ2日前に抜取り検査(異臭検査及び定性法で残留薬物の陰性か陽性かの確認)を行なう。
ハウス養殖の池上げは、ポンプで水と一緒に吸上げ、分養池に集めた後サイズごとに選別する。露地池養殖は網でウナギを集めて蓄養場で選別する。
餌は朝夕2回   浮餌
池上げ準備 網で囲む
荒選別 検量後出荷